Aircraft航空機

航空機事業は飛行艇や航空機コンポーネントの製造を主に手がけています。
その仕事内容を救難飛行艇「US-2」の開発を例に説明します。

藤本 記永

開発に関わった人たち

開発チームは大手重工メーカーなどの協力会社のメンバーも含めると最大200名近くの設計者が参加していました。私自身は、社外では納入先である防衛省(当時・防衛庁)や装備品メーカーの技術者と技術調整し、社内では生産技術部・品質保証部・資材部と連携しながら操縦系統や油圧系統および降着装置の設計に携わりました。また製造部の作業者もサポートしました。

開発に関わった人たち
藤本 記永

開発エピソード

機体を製作する前に設計内容を段階的に試験し、問題がないか確認していく作業を実施する際には、想定しなかった現象や不具合が多く発生します。また機体完成後の作動試験や飛行試験でもいろいろな不具合が発生。対処が遅れると納期に影響するため、原因究明と改善処置が急務でした。そこでは、思いつきにたよらずに、冷静に系統立てて可能性のある原因を列挙し、それを一つずつつぶしていくことで適切な対処を実現。何事も「急がば回れ」だと実感しました。

ココがすごい!

  • 自衛隊に正式配備
    従来機よりも飛躍的に性能アップ さらに広いエリアで遭難者や患者をいち早く発見して輸送するために、従来機よりも航続距離を伸ばし、飛行高度と機体速度をアップさせました。また、パイロットの操縦作業を楽にするための自動操縦などの機能も充実。しかも、性能がアップしたにもかかわらず、価格は従来機より低減させた機体です。
  • 従来機よりも飛躍的に性能アップ
    自衛隊に正式配備 「US-2」の納入先は防衛省。2007年3月に海上自衛隊第71航空隊に正式配備され、2009年3月には、初めての救難任務を行いました。前身である「US-1A」から起算すると、1000回以上もの救難任務を行い、のべ1000名以上を救助した実績を誇ります。

生産工場案内

「US-2」は生産機数が少ないので、工場では受注生産方式をとっています。ただ航空機事業では海外航空機向けコンポーネントの生産量が増加しているため、ライン生産方式への転換が必要となっています。そこで現在、生産方式の改革を進めつつあり、今後工場が大きく様変わりすることは間違いありません。

生産工場案内

救難飛行艇「US-2」への想い

私が入社後すぐに配属されたのが「US-2」開発プロジェクトでした。以来ずっと携わっており、入社7年目にあたる2003年12月18日、いよいよ初飛行を迎えたのです。「US-2」が大空を舞った瞬間は、みんなが一斉に大喜びし、涙を流して感激しました。それはもう、長年の苦労も吹っ飛ぶほどの嬉しさでした。素晴らしい性能を持つ「US-2」を救難用だけに使用するのはもったいない話です。森林火災の消火など、他の用途でも活躍できるよう発展させていきたいですね。

航空機の主な製品

  • US-2型救難飛行艇
    US-2型救難飛行艇 世界で唯一、高さ3mクラスの高波でも離着水が可能な水陸両用飛行艇。人命救助のために活躍しています。
  • ボーイング社 大型航空機「777」向け「翼胴フェアリング」
    ボーイング社
    大型航空機「777」向け「翼胴フェアリング」
    飛行中の空気抵抗を減らすために機体の下部を覆っている部品です。世界中を飛んでいるすべての「777」に使われています。