PROJECT02産機システム(環境システム)

短く、厳しかった工期。
営業と設計が一体となり、日本初の施設を完成に導いた。

  • 設計
    武田 裕
    産機システム事業部 環境システム本部
    エンジニアリング部
    ※所属は当時のもの

    プラントの設計・レイアウトを主に担当。何度も設計協議を重ね、安全性と施設で働く人々の負荷軽減を主眼に設計を行った。

  • 営業
    堤 賢治
    産機システム事業部 環境システム本部
    営業部
    ※所属は当時のもの

    お客さまである福岡県北部1市4町の広域組合や各市町、外部協力会社との調整を担当した。必要とあれば他の役所などにも積極的に営業。

FLOW

  • 営業・受注

    既設のごみ処理プラントの稼動期間などを計算して建て替えの時期を予想し、営業開始。提案開始から入札や受注に至るまでには、年単位での長い時間がかかるため、粘り強さが必要。

  • 設計協議

    お客さまの要望と設計側の考えをすり合わせる協議を何度も行う。施設の目的や作業動線、コスト面、他に重視する点などを踏まえて、最適な機器の選定・レイアウトを考案。

  • 建築工事

    建物自体は建設会社により施工される。建設会社の選定、金額の交渉、工期の管理・調整などは新明和工業で行い、遅れがでないようスムーズな進行に努める。

  • プラント工事(機器据付)

    建築工事の進捗管理と合わせて、プラント機器を製造し、建築工事とのタイミングを合わせて機器据付を行う。レイアウト通りに据え付け、試運転で不具合がないか確認。

  • 納品

    性能試験を終え、本稼働できるという評価を得たうえで晴れて納品。ごみ輸送の効率化・ごみの資源化双方を実現する施設としてのスタートを切った。

INTERVIEW

私たちの生活から切り離せないごみを衛生的かつ効率的に処理するごみ中継施設、遠賀・中間リレーセンター。
国内初の可燃ごみ中継・粗大ごみ破砕の複合施設で営業開始から納品まで約10年、担当した2人が創り上げたものとは――。

公共施設の営業は受注までに相当な年月が必要で、私にとってはそれが一番大変なことでしたね。この施設も受注までに5、6年。公共施設なので、もちろん入札でした。1市4町が一緒になった広域組合や各市町への営業などを長い間続けてきたから、受注できたときはうれしかったですね。
武田
受注した当初は「1日200トンのごみを処理できるもの」という大きなお題があるだけでしたね。もちろん使い勝手や、今までと同じようにしたいところなど要望はありますが、それに合わせてほぼ白紙から作る状態。社内の会議とお客さまとの設計協議を定期的に開いて、何回もすり合わせしたのを覚えています。
私も武田さんに何度も図面を描いてもらっては持っていき、各市町の動きを社内にフィードバックしましたよね。受注までの期間が長かったから、マンネリ化しないように少しでもお客さまの困ったことや要望を聞いて、常に新しい気持ちで提案するよう心がけていました。当社の特装車事業で展開しているアームロール車など、施設までごみを運搬する車両も一緒に提案できるのが強みですね。
武田
設計の立場としては、お客さまの「使う側の視点」としての要望が多かったところが苦労でもあり、新たな発見でした。経験上このほうがいいというような、今までの常識は通用しませんでしたね。お客さま自身が維持管理しやすいように、使い勝手や作業動線など細かいこだわりがありました。以前の施設で困っていたところは新しく、良かったところはそのままでと言われたんですが、実現困難なことが多くて。
両者が納得できるまで話し合った結果が、可燃ごみの中継施設と粗大ごみの破砕施設の合棟だったんですよね。業務の効率も上がる、日本で初めての試み。あるとき最初に提案していた図面を見つけたのですが、今の姿とはまったく違ったものでしたよ。
武田
最初は中継施設と破砕施設が別の棟になる案でしたよね。設計では、一般の方がごみを持ち込むことが多い施設だという特徴を踏まえて、スムーズな搬送と事故が起こらない車両動線を考えました。それから、機器をコンパクトに収め、コストを抑えること。中で働いている人の環境を少しでも良くしたくて、必死でレイアウトを考えましたよ。我ながらよくまとまった施設だと思っています。
私は広域組合、各市町はもちろん、役所の環境課や建設課にも話を聞き、国からの補助金のことなどの情報も仕入れていました。その一方で建物を建築するゼネコンを決めたり、金額の交渉をしたり…。このプロジェクトは工期がかなり厳しかったですよね。
武田
もちろん初めに工期を決めるけれど、建物は建設会社が担当し、その中に当社のプラントを据え付ける工程があります。進捗は新明和工業の工場が管理していて、通常なら1年半ぐらい必要なものを1年かからずに終わらせました。これは良くやったと自分でも思いますね。
新明和工業の設計は対応が早くて発想も柔軟だから、すごく助けてもらいました。必要なときには武田さんや建設会社の方にも同席してもらいましたね。こういった施設の建て替えのスパンは15年から20年。お客さまも一生に一度立ち会うかどうかのプロジェクトで、当社の案、しかも国内初の施設を採用していただけたことが感動的でした。
武田
当社は設計だけやっていればいいという環境じゃないですからね。みんなお客さまの前でしっかり話ができないといけません。その中でお客さまが望んでいることを見極め、営業と一緒になってプロジェクトを創りあげられるようになっていくんですね。
引き渡し後、多くの方に見学に来ていただける施設になって、とてもうれしいです。私も国内はもとより外国からのお客さまもお連れしています。これからどんどん海外にも売り込みたいですね。
武田
納品後もいろいろと工夫して使ってもらえているみたいで、よかったなと思います。最初はただの山だったところに建物ができてプラント機器が入り、性能試験を経てお客さまから「これで使える」というお墨付きをもらったときは本当にうれしかったです。社会に貢献できるやりがいを感じながら、また新たな施設を創っていきたいですね。

POINT

私たちの「創り」

新明和工業から提案を創り、反応を聞いてまた創るという主体的なスタンスで臨んでいました。
それが最終的に日本初の施設につながったのだと思います。